送迎バスでの一コマ―海外編

「…当機はまもなく着陸体勢に入ります。
お座席やテーブルは元の位置に戻し、今一度シートベルトをご確認くださいませ。
」日本を発ってから長い間、雲の上を飛んでいた飛行機は、どんどん高度を下げていく。
まるでミニチュア模型のようだった街並みが、現実味をおびてくる。
やがて軽い衝撃とともに飛行機はランディングする。
シートベルト着用サインが消え、機内はにわかにあわただしくなる。
出口に立つCAにウィンクをし、機外へ。
ぞろぞろと進む人の流れについて荷物を受け取り、入国審査を通過する。
さぁ、いよいよ異国の地での旅の始まりだ。
到着ロビーを抜けるとモワッと湿った南国の空気と濃密な香水の香りをまとった風を感じる。
そんな海外の雰囲気を味わうのもそこそこに、ガイドに連れられ送迎バスに乗せられる。
「ミナサ〜ン、ヨウコソ、コニチハ。
ワタシはガイドの○○デ〜ス。
」そうだった、私はスマートな1人旅を気取っているのではなく、家族で海外旅行に参加したオトウサンだったのだ。
バスの中では今日の日程やチェックインの段取りなどを説明している。
今どきは、案内やおすすめ情報などをバスの中で済ませるのが主流らしい。
客は自分たちを含め、たいして聞いてないのに…そのうちバスは最初の目的地、というより最初の土産物店に到着する。
絶対何も買わないぞ、買うもんか…気づくと妻はすでに品定めの真っ最中。
おいおい、まだ着いて30分だぞ…こうして私たちの海外旅行はバスによる市中引き回しの刑から始まったのだった。
チェックインまでの時間潰しや、少しでもツアー代金を安くするためには土産物店によらなければならないことぐらい、オトナならわかっている。
でも、できればこの心地よいバスの中で、昼寝をしていたいと思っているのは自分だけではないはずだ…そんなオプションがあるならお金を払ってもいい…と思いながら、土産物のお金を払う私であった。
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